Fat X Core・カベリン・チンセラプラス比較ガイド|脂肪溶解注射の選び方を医師が解説【2026年版】

脂肪溶解注射 | 製品比較ガイド

Fat X Core・Fat X Core Silhouette・カベリン・チンセラプラス
脂肪溶解注射4製品の違いを医師が徹底解説

監修:Medixor編集部 | 2025年版 | 医療従事者向け情報

この記事はこんな方に読んでほしい内容です

脂肪溶解注射の新製品を導入検討しているクリニック医師・看護師の方。

Fat X Core とカベリン、チンセラプラスの違いがよくわからない方。

部位ごとに製品を使い分けたいが、判断基準が定まっていない方。

この記事を読むと、4製品の成分・適応・臨床上の使い分けのポイントを整理できます。

脂肪溶解注射の市場は、ここ数年で急速に製品ラインナップが広がりました。

以前はフォスファチジルコリン(PC)単体の製剤が主流でしたが、現在はデオキシコール酸(DC)の配合比率・補助成分・粘度・投与設計の工夫によって、用途ごとに特化した製品が登場しています。

その中でも今、多くのクリニックから問い合わせが多いのが Fat X CoreFat X Core Silhouetteカベリン(Kabelline)チンセラプラス(Kinsera Plus) の4製品です。

「どれを使えばいいのか」「部位ごとに使い分けるべきか」という疑問を持つ医療従事者の方は多いと思います。

この記事では、4製品の成分・特性・適応部位・臨床上の使い分けを整理し、導入判断に役立つ情報を提供します。

なお、本記事で取り上げる薬剤はすべて 国内未承認薬 です。

使用にあたっては必ず医師の診断と処方のもとで行ってください。


脂肪溶解注射の基本メカニズムをおさらい

脂肪溶解注射は、脂肪細胞の細胞膜を破壊または代謝を促進することで、局所的な脂肪の減少が期待される施術です。

現在流通している多くの製剤は、以下の2系統に大別されます。

PC / DC系(フォスファチジルコリン / デオキシコール酸)

もっとも普及している系統で、PC(フォスファチジルコリン)が脂肪細胞膜を可溶化し、DCがその作用を増強するとされています。

作用のメカニズムとしては、界面活性作用による細胞膜破壊と、炎症反応を介したマクロファージによる脂肪組織の貪食・除去が関与していると考えられています。

代謝促進・リポリシス系

L-カルニチン・カフェイン・アーティチョーク抽出物などを配合し、脂肪細胞内のリポリシス(脂肪分解)を促進するとされる製剤です。

PC/DC系に比べて腫脹や炎症が少なく、ダウンタイムの短縮が期待されることから、顔など繊細な部位に使われるケースもあります。

今回取り上げる4製品はいずれもDC(デオキシコール酸)を主成分とした製剤ですが、それぞれ配合濃度・補助成分・製剤設計が異なります。

その違いを正確に把握することが、適切な製品選択の出発点となります。


Fat X Core と Fat X Core Silhouette の特徴と違い

Fat X Core シリーズは、韓国の製薬メーカーが開発した脂肪溶解注射製剤で、ボディ輪郭形成を目的とした高濃度PC/DC配合が特徴とされています。

Fat X Core の主な特性

Fat X Core はボディ部位(腹部・太もも・二の腕・背中など)向けに設計された製剤で、比較的高濃度のPC/DCが配合されているとされています。

注入後に一定の腫脹・炎症反応が生じることが多く、これは脂肪溶解の過程で必要な免疫反応の一部と考えられています。

適応部位としては、体幹・四肢の皮下脂肪が厚い部位が主な対象となります。

1回の施術あたりの注入量は部位ごとに調整が必要で、過剰投与による皮膚壊死・硬結のリスクを避けるため、プロトコルの厳守が重要とされています。

Fat X Core Silhouette の主な特性

Fat X Core Silhouette(シルエタ)は、Fat X Core のボディ特化版として開発された派生製品です。

DC濃度はFat X Coreと同じ1.0%ですが、組織への拡散力が強化されており、広範囲の脂肪細胞により効率的に作用する設計とされています。

腹部・太もも・背中・二の腕など、ボディの比較的広い脂肪層を一度にカバーしたい場合に適しているとするクリニックが多くみられます。

NAISコンプレックスも配合されているため、高濃度DCでありながら炎症・腫脹が一定程度抑制された設計とされています。

2製品に共通する注意点

Fat X Core シリーズは国内未承認薬であり、医師の個人輸入の範囲内での使用が前提となります。

施術前の患者説明・同意取得(インフォームドコンセント)は必須です。

アレルギー歴・炎症性皮膚疾患・妊娠中・授乳中の患者への使用は避けるべきとされています。


カベリン(Kabelline)の特性と適応

カベリン(Kabelline)は、中国メーカー発の脂肪溶解注射製剤で、PC/DCを主成分とした定番製品の一つです。

アジア圏を中心に多くのクリニックで使用実績があるとされており、特に顎下・フェイスライン周辺への使用で支持を集めている製品です。

カベリンの成分と作用

カベリンにはPC(フォスファチジルコリン)とDC(デオキシコール酸)が配合されており、脂肪細胞膜の溶解と吸収が期待されます。

製剤の粘度は中程度とされており、顎下から頬・フェイスライン周辺まで幅広く使用されているという報告があります。

1アンプル(10mL)の中に複数回分の施術量が含まれているため、コスト効率が高いとされています。

カベリンの適応部位と注入プロトコル

主な適応として報告されているのは、顎下の二重顎・頬の脂肪・腹部の局所脂肪などです。

注入間隔は通常4〜6週間程度が推奨されており、複数回の施術で効果の積み重ねが期待されるとされています。

ダウンタイムとして施術後の腫脹・内出血・熱感が生じることがあり、患者への事前説明が必要です。

顔部位への注入では血管誤注入のリスクを回避するため、解剖知識に基づく慎重な操作が求められます。

カベリンの注意点

国内未承認薬であるため、使用前に患者へのインフォームドコンセントを取得することが必要です。

感染症・皮膚炎・肝機能障害・腎機能障害を有する患者への使用は慎重に判断すべきとされています。

開封後の残液の保存・再使用については衛生管理上のリスクがあるため、クリニック内でのプロトコル整備が重要です。


チンセラプラス(Kinsera Plus)の特性と適応

チンセラプラス(Kinsera Plus)は、二重顎(chin area)への特化設計で注目を集めている脂肪溶解注射製剤です。

製品名の「Chin」(顎)が示すとおり、顎下脂肪の溶解を主たる目的として開発されたとされています。

チンセラプラスの成分設計

チンセラプラスは、DC(デオキシコール酸)を主成分として配合しており、FDA承認の二重顎治療薬「Kybella(デオキシコール酸注射)」と同系統の作用機序とされています。

ただし、Kybella とは別製品であり、成分濃度・賦形剤の構成・製造基準は異なることに注意が必要です。

補助成分としてL-カルニチンなどの代謝促進成分が配合されているとする情報もありますが、製品ロットによる差異がある可能性も考慮すべきです。

チンセラプラスの主な適応部位

主な適応は顎下脂肪(二重顎)であり、比較的少量・ピンポイントの注入設計が想定されています。

顎下への施術は神経・血管走行のリスクが高い部位でもあるため、解剖学的知識に基づく施術者のスキルが不可欠です。

また、顎下部位は術後の硬結が長期化しやすい傾向が報告されており、施術間隔の適切な設定が求められます。

チンセラプラスの注意点と他製品との差別化

DC主体の製剤は細胞破壊力が比較的高い反面、周辺組織へのダメージリスクも伴うとされています。

顔部位・首部位への使用は特に慎重を要し、初回は少量からの投与設計が推奨される傾向があります。

Fat X Core・カベリンとの使い分けとしては、「ボディ全般にはFat X Core」「顔全般にはカベリン」「顎下ピンポイントにはチンセラプラス」という位置づけを採用しているクリニックもあります。

ただし、最終的な製品選択は各患者の状態・解剖的条件・施術者の習熟度に基づいて判断されるべきです。


4製品の比較表・成分比較・部位別使い分けガイド

ここまでの内容を整理した比較表を以下に示します。

あくまでも製品特性の傾向を整理したものであり、臨床での最終判断は医師が個々の症例に応じて行ってください。

製品概要の比較

製品名 主成分 主な適応部位 特徴・傾向 ダウンタイム
Fat X Core DC 1.0%+NAISコンプレックス 腹部・太もも・二の腕・顔・ボディ全般 顔・ボディ汎用。高濃度DC+抗炎症設計 腫脹・炎症あり(Core比で軽減済)
Fat X Core Silhouette DC 1.0%+NAISコンプレックス(拡散強化) 腹部・太もも・背中など広範囲ボディ ボディ特化。組織拡散力が強化された設計 腫脹あり(ボディ前提の設計)
カベリン(Kabelline) DC 0.5%+L-カルニチン塩酸塩 顎下・頬・腹部・顔ボディ汎用 汎用性が高い。DC濃度は中程度 腫脹・内出血(標準的)
チンセラプラス(Kinsera Plus) DC 0.8%(中性pH・低張性設計) 顎下(二重顎)・顔周辺 顎下特化。pH7中性設計で注入時疼痛軽減 腫脹・硬結リスクあり

成分・配合の詳細比較

複数のクリニックサイトおよびメーカー公開情報をもとに、各製品の成分・配合を以下の表に整理しました。

なお、製品のロットや製造時期により成分が変更される場合があります。

最新の成分情報は各製品の添付文書・メーカー資料を必ず確認してください。

確認項目 Fat X Core Fat X Core Silhouette カベリン チンセラプラス
主成分 デオキシコール酸(DC) デオキシコール酸(DC) デオキシコール酸(DC) デオキシコール酸(DC)
DC濃度 1.0% 1.0% 0.5% 0.8%
PC(フォスファチジルコリン) 非配合 非配合 非配合 非配合
NAISコンプレックス 配合 配合 非配合 非配合
L-カルニチン塩酸塩 非配合 非配合 配合 記載なし
pH設計 非公開 非公開 非公開 pH 7(中性)
浸透圧設計 標準 標準 標準 低張性設計
組織拡散設計 標準 広範囲拡散強化 標準 標準
主な設計コンセプト 顔・ボディ汎用 ボディ広範囲特化 顔・ボディ汎用 顎下ピンポイント特化

成分表の読み方ポイント

4製品はいずれもPCを含まないDC単独系製剤である点が、従来のPC/DC混合系(リポスタビル系)との大きな違いです。

DC濃度が高いほど脂肪溶解力は強まりますが、炎症・腫脹・疼痛のリスクも高まる傾向があります。

Fat X CoreとSilhouetteはNAISコンプレックスによってこのリスクを軽減した設計とされており、DC 1.0%でも比較的ダウンタイムが抑えられているとする報告があります。

チンセラプラスのpH7中性設計・低張性設計は注入時の疼痛軽減に寄与するとされており、顎下のような鋭敏な部位での使用に適しているとされています。

部位別の使い分けの考え方

部位別の製品選択については、以下の考え方が参考になります。

部位 推奨される製品候補と選択の根拠
腹部・体幹(広範囲) Fat X Core Silhouette が有力候補。広範囲拡散設計がボディの広い脂肪層に適している
太もも・二の腕・背中 Fat X Core Silhouette / Fat X Core いずれも対応可。広範囲にはSilhouetteが適しているとされる
顎下(二重顎) チンセラプラス / カベリン が有力。pH中性・低張性設計のチンセラプラスは疼痛軽減が期待される。神経・血管走行の習熟必須
頬・フェイスライン カベリン / Fat X Core が候補。DC濃度が中程度のカベリンは顔部位で使用実績が多いとされる。少量・慎重投与が原則
顔・ボディ両方への対応 Fat X Core / カベリン が汎用性高め。顔にはカベリン・ボディにはFat X CoreまたはSilhouetteと使い分けるクリニックも多い

臨床上の重要ポイント

比較表はあくまでも製品の設計上の特性に基づく傾向であり、個々の患者の体型・脂肪量・皮膚厚・既往歴によって最適解は異なります。

初めて導入する製品は少量から始め、患者の反応を観察しながらプロトコルを構築していくことが推奨されます。


導入前に確認しておくべき安全管理と注意点

施術前のスクリーニングと問診の重要性

脂肪溶解注射を安全に提供するためには、施術前の十分なスクリーニングが欠かせません。

確認すべき主な項目として、過去のアレルギー歴・大豆製品アレルギー(PC が大豆由来であるため)・感染症・妊娠・授乳・肝腎機能障害・抗凝固薬の服用があります。

これらに該当する患者への施術は禁忌または慎重投与とされているため、問診票の整備とインフォームドコンセントの徹底が必要です。

主な副作用と対応プロトコルの準備

脂肪溶解注射に共通する主な副作用として、注射部位の腫脹・内出血・疼痛・熱感・硬結が挙げられます。

これらの多くは一過性であり、数日〜数週間で消退することが多いとされています。

一方、稀ではありますが皮膚壊死・神経障害・感染などの重篤な合併症が報告されているため、初期対応プロトコルをクリニック内で整備しておくことが重要です。

特に顔部位では血管解剖の熟知と、誤注入時の緊急対応手順(ヒアルロニダーゼとは異なる対応が必要な場合あり)を事前に確認しておくことを推奨します。

薬機法上の取り扱いと院内管理

本記事で紹介した4製品はすべて国内未承認薬です。

日本国内での使用には、医師が自己の責任において個人輸入する形が前提となります。

薬監証明(輸入確認証明書)の取得、院内での適切な保管管理(冷蔵・遮光など製品指定の条件に従う)、廃棄処理の記録なども必要です。

患者への説明においても、「国内未承認薬である」「有効性・安全性については国内での治験が行われていない」という旨を必ず伝え、同意を得てください。

施術後フォローアップの設計

脂肪溶解注射の効果確認・副作用モニタリングのため、施術後1〜2週間での経過確認アポイントを設定することを推奨します。

患者が「効果が出ていない」「硬結がとれない」と感じるケースでは、次回施術の要否と部位・量の再設計が必要になることがあります。

また、ビフォーアフターの写真記録を標準化しておくと、施術効果の評価と患者とのコミュニケーションの両面で役立ちます。


まとめ

Fat X Core / Fat X Core Silhouette / カベリン / チンセラプラスはいずれも脂肪溶解注射の有力製品ですが、それぞれ設計コンセプト・主な適応部位・ダウンタイムの傾向が異なります。

「ボディ全般の大量脂肪にはFat X Core」「輪郭・フェイス周辺にはSilhouette・カベリン」「顎下ピンポイントにはチンセラプラス」という大枠の役割分担を念頭に置きつつ、個々の患者の状態と施術者の習熟度に応じて選択することが重要です。

新製品の導入前は必ず製品情報の精査と施術者トレーニング、院内プロトコルの整備を行ってください。

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Medixor編集部

美容医療クリニック向け医薬品・情報プラットフォーム

医師・薬剤師・医療従事者による監修のもと、美容医療の最新薬剤情報・臨床活用ガイドを提供しています。 記事の内容は医療従事者向けの情報提供を目的としており、一般消費者への治療推奨ではありません。

注意事項・免責事項

本記事は医療従事者向けの情報提供を目的としており、一般の方への治療推奨ではありません。

記載の薬剤(Fat X Core、Fat X Core Silhouette、カベリン、チンセラプラス)はすべて国内未承認薬です。

薬剤の使用は必ず医師の診断と処方のもとで行ってください。

本記事に記載の効果・成分情報は現時点での公開情報に基づくものであり、製品ロットや製造時期により異なる場合があります。

Medixor編集部は本記事の情報を利用したことによる損害について責任を負いかねます。

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